おいしいお米の販売からスタートして早13年。本当にいい商品だったのにうまく売れず、最初は売上低迷が続いていた我々も、口コミの活用によって20倍の発注率を達成し、V字回復することができました。さらに同じ悩みを抱えておられる企業さまを支援する中でノウハウを蓄積・体系化。今では、主にコスメメーカー様のセールス・プロモーション支援を、年間約2000回もさせていただくまで成長しました。
「口コミの活用」というとステマ的なイメージを持たれるかもしれませんが、そうではありません。口コミは「企業と消費者を結ぶ重要なコミュニケーションツール」です。口コミを軸にマーケティング手法を有機的に組み合わせれば、売り手がアピールしたい商品・サービスを、それを求めている消費者に、今よりもっと手にとってもらえるようになります。
「多馬力マーケティング~選ばれる商品になるための口コミの教科書~」では、弊社が13年間で蓄積してきた考え方とやり方を詰め込んだ一冊となっております。今の売り方に不安を感じている人にぜひ読んでいただきたい。
そこで、今回、多馬力マーケティングの第1章『スマホ時代に知っておきたい売れる商品の考え方』を無料公開します。マーケティング活動を最新にアップデートし、「売れない」を「売れる」に変えていきましょう。
ご参考にして頂けたら幸いです。
多馬力マーケティング~選ばれる商品になるための口コミの教科書~
第1章 スマホ時代に知っておきたい売れる商品の考え方
市場はもう飽和状態! 「良い商品・サービス」だけでは売れない時代に!
まずお伝えしておきたいのは、あなたの企業が扱っている商品・サービスは きっと「良いもの」だということです。にもかかわらず、思ったように売れない。 だから悩んでいるのだと思います。 実は、現代は単に性能や品質が良い「良い商品」「良いサービス」だけでは、黙っ ていても売れる時代ではなくなってしまいました。 その主な理由は、次の2つです
1.スマートフォンの普及で消費者のニーズが多様化した
「インターネットとスマートフォンが、私たちの生活を変えた!」 もう何度、見たり聞いたりしたかわからないフレーズです。 確かに、インターネットとスマートフォンの登場は、私たちの人生をひとつ上 の次元に引き上げたと思います。かつて、映画やアニメで見ていた世界が、現実 のものとなりました。 でも、メールをチェックできたり、映画やコンサートのチケットを簡単に購入 できたり、待ち合わせや目的地へのナビが簡単になった……そんな日常生活での 恩恵だけが、スマートフォンによる生活の変化ではありません。 インターネットとスマートフォンの登場で、私たちの消費意識そのものに大き な変化が生じています。電気のなかった時代に電気が発明されたような、「革命」 と言っても過言ではないくらいの変化が起きているのです。

一般社団法人 日本プロモーショナルマーケティング協会「プロモーションマーケティングベーシック」参照
スマートフォンが普及し、商品・サー ビスの種類もどんどん増えた結果、消費 者の好みも多様化しています。 企業は、多様化する消費者のニーズに きめ細かく対応するための施策を求めら れており、時代の変化のスピードは年々 加速しているのです。 消費者の変化として、その最たるもの が「RsEsPs(レップス)モデル」です。 レップスとは、人の購買行動プロセスを「認識 (Recognition)」「 体験(Experience)」「購買(Purchase)」 と いう3つのフェーズに単純化して整理し、さらに各フェーズにおいて「検索 (search)・共有(share)・拡散(spread)」といった行動が発生していることに対応し、構造化したものを言います。 平たく言ってしまうと、スマホなどのデジタルツールやSNSの発展により、 あなたも含めた私たち消費者の行動が複雑になっている、ということです。 具体的には、何か欲しいものが見つかると消費者は検索し、価値があると感じ ればSNSやブログなどで共有・拡散をする。そういう時代になってしまってい るのです。 そんな新しい時代の消費者たちから選ばれるためには、これまでのような販売 やマーケティングの意識から、大きくパラダイム・シフト(まったく新しいもの の見方への変化)をする必要があります。
2.ライバルが必ず存在するから
あなたのビジネスには必ずライバルが存在しています。「うちの商品はこれまでにないものだから」と言いたい気持ちもわかるのですが、実際には今の時代、ライバルが存在しないことはありません。 なぜなら、インターネットの発達や、OEM/アウトソーシングなどが発達して、事業のサポートをするビジネスがたくさん出てきた結果、ビジネスをスタートするハードルが下がったからです。当然、たくさんのビジネスや商品が生まれています。 また、うまくいったビジネスがあれば、すぐに大手の企業から個人起業家まで真似をされてしまいます。 さらに、代替品もたくさん出てきています。化粧品の例でいえば、基礎化粧品 は単品だけではなく、基礎化粧品の機能を含んだオールインワン化粧品なども存在しています。 消費者のニーズに合わせ、多種多様な商品・サービスが生み出され、市場は常に飽和状態。もはや「これがこだわりの商品です」とうたってみても、それだけで売れる時代ではないのです。
自社商品の「ここがすごい!」は 消費者には伝わりづらい
- スマートフォンの普及で消費者のニーズが多様化したこと
- ライバルが必ず存在すること
この2つの理由により、埋もれてしまう商品が続出しています。 いくらいい商品だとしても、その商品独自のウリが、消費者に伝わりづらく なってしまいました。モノが溢れかえる中、メーカー側は思いを込めて「独自のウリ(USP: Unique Selling Proposition)」を打ち出しています。
しかし、消費者からすると類似の商品が多すぎるため自分の求める商品にたど り着けず、その結果、有名な商品や安い商品を選んでしまうのです。 「結局、同じなのだから、少しでも安価な商品を買おう」 そうした消費者が増えてしまうと、価格競争に陥ってしまいます。 価格競争になってしまうと、大量生産で製造コストを下げられる大手企業が圧 倒的に有利になります。一般企業がそこで戦ってしまうと確実に負けてしまうで しょう。勝ち残るためには自社商品の「ココがすごい!」という箇所(ウリ)を 強調する必要があるのです。 また、独自のウリを一生懸命に伝えているつもりでも、長いランディングページ(1枚の縦に長いページで商品の長所を説明し、買わせるページ)のような売り方では、今の消費者には届かなくなってしまっているのです(このことは章末 のコラムで詳しくお伝えします)。
消費者の商品選びは 「十人一色」から「一人十色」の時代に
このような状況を象徴する言葉を紹介しましょう。 「十人十色」という言葉を聞いたことがあると思います。「好み・考え・性格な どが、人によってそれぞれ違うこと」を指す言葉です。 消費者が商品を選ぶときも、かつてはこの考え方が前提でした。 しかし、それ以前には「十人一色」の時代がありました。十人一色とは、文字通り「みんなで同じものを買う」という意識です。 売り手側が「化粧品はこれがいいんですよ」と言えば、みんながそれを信じて買いました。情報そのものが少なく、他と比較されることがほとんどなかった時代に通用した販促方法だったのです。 時代は変わり、十人十色の時代になりました。 「あの人はこのメーカーを推しているけど、私はこれ」というように、競合他社 や情報が増えることによって、みんなそれぞれに好みの「推し」を見つけ、それ が広く受け入れられる時代になったのです。
ですが、インターネットとスマートフォンの普及によって、ここにさらなる変化が生じました。それが「一人十色」の時代です。 現代は、一人の人が膨大な量の情報に触れられるようになりました。 何かを買おうと思ってもすぐに決めるのではなく、他人のレビューを参考にし たり、同類の商品と比較して選択します。 さらに、何かひとつの「推し」を見つけても、「これはこれでいいけど、あれも捨てがたいから」と一人で複数の商品をチョイスできるようになりました。例えば一人の女性が化粧品を、「昼用」「夜用」「外出用」と使い分けるのが当たり 前だったりします。
一人十色の時代には 消費者にベネフィットを聞いてしまおう
一人の消費者が、シチュエーションごとに複数の商品を使い分ける時代。 販売側には「消費者の基準」の視点が欠かせません。一人十色の時代の消費者は、メリット(メーカー側が長所と考えていること) よりもベネフィット(商品によって、消費者が叶えたいこと)を基準に商品を選びます。洗濯洗剤で例えてみましょう。 綺麗になる・部屋干しでも臭くない・いい匂いがずっと続く、などが「メリッ ト(メーカー側が長所と考えていること)=価値・特長」です。 ですが今の時代、このようなメリットはよほどおかしなものを買わない限り、 得られて当たり前のことです。 一人十色の消費者にとって、メリットは当たり前のこと。その上で「ベネフィット(消費者が叶えたいこと)=自分に最も利益になるもの」が何かで商品を選びます。 ただしベネフィットには、なかなか明言しにくい、という特徴があります。 先ほどの例で言うと、「綺麗になるし、もっと発色がいい感じになる」「部屋干しで臭くならないだけでなく、いい匂いも残る」「いい匂いがするし、時間が経つと私にちょうどいい、(強すぎず)少し優しい香りになる」「どちらかというと甘い香りではなく、より爽やかな香りになるほうがいい」というようなこと です。読んでいただければわかる通り、これらはとても感覚的なものです。
・「いい感じ」ってどんな感じ?
・「強すぎる」ってどのくらい抑えればいいの?
・「爽やか」って具体的にどういうこと?
その感覚は正しいでしょう。よくわからない、主観的であいまいな感覚こそ が、今の消費者の選択基準でありベネフィットなのですから。 だからこそ、ベネフィットは消費者に直接聞くしかありません。
消費者の「何となく」に 決め手とニーズが隠されている
「ベネフィットを消費者に聞く」というと、「アンケートを取ろう」「調査企業 にお願いしよう」と思い浮かぶかもしれません。もちろん間違ってはいないのですが、ひとつ押さえておいてもらいたいポイントがあります。 それは、調査には「定量調査」と「定性調査」があるということです。 定量調査とは、検索数やクリック率など、数値化できるものの調査のことを指します。 定性調査とは、「何となく気持ちいい」「割といい感じ」といった性質的で数値化できないものの調査を指します。この定性調査が今までのアンケートなどの方式では難しいのです。 例えば、定量調査では「このページを30秒見たからこの商品に興味がある」「このページからの離脱率が20%だから、反応が取れるページだ」といった数値的なことを調査しますが、一人十色時代のマーケティングとして、これだけでは不充分です。 というのも、消費者の基準があいまいで主観的なものになった現代では、「何となく」という定性的な部分を抽出する 必要があるからです。そこに消費者の選択の決め手があり、ニーズが隠されているのです。 もちろん、定量調査が不要なわけではありません。 一人十色になった時代では、定性的な変化を見ながら、それによる定量的な変化がどのように起こっているかを見極めることが大切なのです。
メリットよりも 商品のベネフィットを訴求しよう
今の時代、消費者にメリットを訴えているだけでは商品は売れません。 メリットだけを訴求しても「よくある売り文句だ」と思われてしまうので、メッセージが引っかからず、素通りしてしまうからです。 「私に対して発信してくれているものだ!」「これなら私ももっと良くなるか
も!」「これを使うと、安心だ!」と感じてもらえることが大事です。 こうした訴求方法を、化粧品の例でお伝えしましょう。 保湿・美肌効果に優れた無添加の素材を使用した化粧品があるとします。 この化粧品のウリは「たった 日でシミ・そばかすが消え、肌年齢が5歳若返 ること」です。 化粧品を使ってみた人たちからは、「この化粧品のおかげで、自分に自信が持て、外出が増えました」「最近周りから、あなたといると元気をもらえる、と言ってもらえるように」「 代に間違えられることも増えたし、彼氏もできました(笑)」といった声が届いているとします。 この例における、メリットとベネフィットは次のようになります。
・メリット:たった30日でシミ・そばかすが消え、肌年齢が5歳若返る。
・ベネフィット:自分に自信が持て、外出が増えたこと。(元気になり)周りから「あなたといると元気をもらえる」と言ってもらえること。(20代に見られて)彼氏ができたこと。
このように、その人にとってずっと頭の中にあった願望を叶えることや、悩みの解決に訴求することで、初めてモノが売れます。だから、ベネフィットがわかれば、それを訴求するべきです。
ただし、こうしたベネフィットそのものを「約束」として大々的に打ち出すのは非常に困難です。 大きな理由のひとつに「薬機法」(正式名称「医薬品、医療機器などの品質、 有効性及び安全性の確保等に関する法律」)があります。 これは、健康食品・サプリメント・飲食品類・一般化粧品類は、医薬品類と同様の効果・効能があると誤認を与えないよう、規制された範囲内で表記しなければいけないと定めている法律です。 この法律を遵守しないと、罰金などの実刑を受ける可能性があります。 虚偽や誇大表現を用いた情報による被害も増加しており、世の中の流れとして 広告表現に対する規制が年々厳しくなっているのです。したがって化粧品やサプリメントの効能や効果を大々的にアピールすることは非常に難しく、規制された 範囲内での記載をする必要があるのです。
「ベネフィットの打ち出しが重要なことはわかったけど、こちらからは大々的に 打ち出せない。じゃあ、どちらにしても無理じゃない」 そんな声が聞こえてきそうです。 でも、大丈夫。ベネフィットをどのように見つけ、活用すれば良いのか。その効果的な方法があります。 それはベネフィットを口コミ、つまり「使用者の感想」として表現すること。 良い口コミがあれば、似たような属性の人から大きな共感を得られるのです。 これこそがまさに本書のテーマとなります。 次章では、本章でお伝えした時代背景や問題・課題点を解決するために、良い 口コミの集め方や活用の仕方について詳細を見ていきます。
この章のポイント
・多様化する消費者のニーズにきめ細かく対応することが重要な時代になった。
・消費者にとって本当のメリットであるベネフィットを知るには、消費者に直接聞くしかない。
・ベネフィットを知るには定量調査だけではなく、定性調査も重要
第2章 口コミは企業と消費者を結ぶ重要なコミュニケーションツール
……売り手と買い手の間には決定的な齟齬がある。その齟齬を埋め、コミュニケーション手段となるのが「口コミ」だ。良質な口コミが自然発生すれば、売上は伸ばせる!
第3章 多馬力マーケティングで「売れない」を「売れる」に変えよう
……現代社会で商品を売るには3つのチャネルを複合的に組み合わせ、利益を最大化させなければならない。そのために有効な手法が「多馬力マーケティング」である。
第4章 多馬力を生み出す口コミの作り方
……消費者が信頼する口コミには「量」「質」「更新頻度」の3つの条件がある。信頼ある口コミを自然発生させるための7つのステップを詳細に解説する。
第5章 多馬力マーケティング成功の秘訣と実務でよくある7つのQ&A
……多馬力マーケティングを実践し、成果を出すために重要な5つのアプローチを解説。さらに実践時に想定される疑問をQ&A形式で紹介し、実践の障害を取り除く。
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